形成外科
形成外科

形成外科は、怪我・やけどの治療はもとより、生まれながらの異常、病気などで生じた整容面の不満足に対して、外科的に見た目や機能を改善する診療科です。体表面を中心に、頭から足の先まで全身を治療対象としています。一般的な治療としては、粉瘤や脂肪腫などといった皮膚のできものの手術、怪我や熱傷、皮膚の瘢痕やケロイドの治療、眼瞼下垂症、生まれつきのあざなどがあります。
粉瘤
表皮嚢腫とも呼ばれる病気で、体中のどこにでもできる良性の皮下腫瘍です。皮膚の上皮成分が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に垢や脂がたまってできた固まりが粉瘤です。多くは数ミリ程度の盛り上がった状態から次第に大きくなり、数センチほどの半球状になることもあります。皮膚が破けると膿汁と臭い粥状の固まりを排出します。膿を出そうとして圧迫すると、袋が破れて脂肪組織内に散らばり慢性化してしまうこともありますので、内容物を無理に排出することは避けて早めに受診してください。
脂肪腫
皮下に発生する良性の腫瘍です。皮下脂肪層にみられる浅在性脂肪腫があります。痛みなどの症状はなく、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして認められます。大きさは数ミリ程度の小さなものから直径が10センチ以上に及ぶものまで様々です。治療は手術による脂肪腫の摘出で、再発することはまれです。
石灰化上皮腫
石灰化上皮腫は、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、主に毛をつくる細胞(毛包の一部)が原因となって発生します。小児や若年成人に多くみられ、顔や首、腕などの露出部位にできることが多いのが特徴です。初期は皮膚の下にコリコリとしたしこりとして気づかれることが多く、痛みはほとんどありません。大きくなると、青白く透けて見えることや、皮膚の表面が赤くなったり炎症を起こすこともあります。しこりの中には石灰が沈着しており、触ると硬く感じられます。石灰化上皮腫は自然に消えることはほとんどないため、外科的切除(摘出手術)が基本となります。
ほくろ・いぼ
ほくろは良性腫瘍の一種で、表皮にメラニン色素を生成するメラノサイトが集まり、黒色班になります。隆起したもの、平らなもの、毛が生えているものなど様々です。生まれつき皮膚の広範に色素性母斑がみとめられるものは、巨大色素性母斑と呼ばれます。
一般的ないぼは足の裏に多く、免疫力低下により粘膜がウイルスに感染して生じるといわれています。顔や首などに出現する老人性のいぼ(老人性ゆうぜい)から足の裏にできるいぼ(尋常性ゆうぜい)まで種類も様々です。治療は電気レーザーで全体を焼き取る方法や、メスなどを使用してくり抜く方法が一般的です。
青あざ
青あざは、皮膚の真皮という深い層にメラニン色素をつくる細胞が存在することで生じる青みがかったあざです。主なものに、太田母斑や異所性蒙古斑があります。青あざは場合によっては自然に消えることもありますが、色調の濃い場合はレーザー治療が有効です。当院では、ピコレーザーを使用し、深い層のメラニンを狙って破壊することで徐々に薄くしていきます。
茶あざ
茶あざは、皮膚の表面にメラニンが過剰に沈着してできる、茶色〜薄茶色のあざです。代表的なものに、扁平母斑やカフェオレ班があります。当院ではピコレーザーによる治療を行います。ただし茶あざの種類によっては再発しやすいものもあり、レーザーの種類・照射方法を慎重に選ぶ必要があります。
眼瞼下垂症
眼瞼下垂症は、上まぶたの皮膚が緩むことで生じる加齢現象の一つです。眼を開いたときに上まぶたが正常の位置よりも下がり、上の視野が狭く感じたり、外見が悪く(眠そうな印象)なったりします。まぶたを上げようとするため、まゆ毛の位置が高くなり、額のしわが目立ったり、頭痛や肩こりの原因になったりすることもあります。眼瞼下垂症の手術は、まぶたの皮膚を二重の位置で切開し、眼瞼挙筋腱膜を緩んだ分だけ短くする眼瞼挙筋前転法が代表的な手術です。高齢化を背景にニーズが高まっています。
傷あと
やけど・擦り傷・切り傷などの外傷、手術後やにきびなどで傷あとが残ることがあります。深い傷であるほど目立つ傷あとになりますが、浅い傷でも広範囲に及べば整容的に問題となることがあります。痛みがある傷が通常の経過で治り、その残った傷あとを「成熟瘢痕」といいます。「肥厚性瘢痕」は深い傷のあとで、傷ができてしばらくはミミズ腫れのように盛り上がります。この他に、皮膚の深いところにある真皮で炎症が続いて生じてしまうケロイドがあります。治療には瘢痕を切除して縫合する外科的治療や、皮膚の再生を促すレーザー治療、傷跡に特殊なメイクアップを施すメイクアップセラピーなどがあります。
腋臭症(わきが)
わきの下にはアポクリン腺とエクリン腺という2種類の汗腺(汗を出す器官)があり、わきがとは、アポクリン汗腺からの汗の成分と、皮膚表面の細菌が作用して特有の臭いを放つことをいいます。アポクリン汗腺は、ホルモンの分泌が活発になる思春期から活動を始めるため、この頃に症状を訴える方が多いようです。
治療は不規則な日常生活や喫煙習慣など、生活習慣を見直すことから始まります。治療には、ボツリヌス毒素(ボトックス)注射や塩化アルミニウム溶液の外用、レーザーによる治療などもあります。手術治療の適応は、においが強い場合です。アポクリン腺が分布している層を皮膚の裏側から切除する方法が最もよく行われています。
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